
日産自動車は2025年7月、社債で約8600億円を調達した。最大利率が8.125%であることから、利払い負担の増加が懸念されている。これまで、いくら利払いが増加したか、明らかになっていなかった。ダイヤモンド編集部の試算により利払い負担の増加が判明した。一体いくらなのか。特集『自動車 “最強産業”の死闘』の#10では、そのインパクトを実額で示す。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
日産は想定以上に資金を調達できたが…
利払い負担の増加が大きな利益圧迫要因に…
経営再建中の日産自動車に、リストラ費用だけでなく、社債の利払い負担が重くのしかかることになりそうだ。
日産は米ドル建て・ユーロ建て普通社債で約6600億円、ユーロ円建て転換社債型新株予約権付社債で約2000億円を、2025年7月に調達した。
当初の調達額は、普通社債で約6000億円、転換社債で約1500億円だったが、投資家側に想定以上の需要があったためそれぞれ増額した。この増額を受け、日産のジェレミー・パパンCFO(最高財務責任者)は会見で、「資本市場が日産を“信頼している証し”の一つだ」と胸を張った。
もっとも、転換社債を想定以上に調達できた背景には、投資家側の事情もある。「24年5月にロームが発表して以来、日系企業の大型案件がなかった」(国内大手証券関係者)ことから、不足感があった。久々の大型案件として、熱視線が注がれた。
いずれにしても、日産は25年度末に約5500億円もの社債償還を控え、今回無事に借り換えを行うことができたことになる。
だが、問題視されているのは、普通社債の「高利率」だ。日産は業績不振で格付けが下がったことで、ジャンク債に位置づけられる。今回発表された普通社債の最大利率は、8.125%にも及んだ。
そこで懸念されるのが、利払い負担の増加である。ダイヤモンド編集部は、取材などを基に日産のこれまで明らかになっていなかった利払い負担額を試算した。一体いくら増えているのか、次ページ以降で明らかにする。