パナソニック 正念場#8Photo:jayk7/gettyimages

大改革中のパナソニック ホールディングスは7月30日、グループ再編の概要と一部事業会社のトップ人事を発表した。1万人のリストラに次ぐ改革の“二の矢”のはずだが、株式市場からは早くも「経営体制は大丈夫なのか」と施策を疑問視する声が上がっている。特集『パナソニック 正念場』の#8では、パナソニックグループの再編と「不可解な役員人事」の真意に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

低収益の家電部門を大再編!
SCMソフト社長は期中に“緊急降板”

 経営改革中のパナソニック ホールディングス(HD)で、1万人の大リストラに続く具体策が明かされた。

 持株会社であるパナソニックHDの傘下には、電池を生産・販売するパナソニック エナジーやサプライチェーン・マネジメント・ソフトウエア(SCMソフト)を手掛けるパナソニック コネクトなど複数の事業会社がぶら下がっている。そのうちの一つ、家電や空調などを扱うパナソニック(株)の再編の概要が明らかになったのだ。

 この公表と同時に、再編に伴って誕生する新会社のトップや、他事業会社の社長人事も発表された。中でも業界を驚かせたのが、コネクト社の社長人事だ。同社は組織再編の対象外だが、8年以上にわたって同社の変革をけん引してきた樋口泰行社長が2025年度末で退任するという(コネクト社での樋口氏の取り組みについては、本特集の#6『パナソニック、米物流管理ソフト会社「1兆円買収」のシナジーは?“元マイクロソフトの出戻り社長”の手腕を徹底解明』参照)。

 上半期すら終わっていないタイミングで次年度の社長交代が発表された仰天人事について、株式市場からは早くも「経営体制は大丈夫なのか」と改革の進捗を疑問視する声が上がっている。グループ会社の不可解な幹部人事が、経営改革に水を差すことにはならないのだろうか。

 次ページでは、パナソニックグループの再編と役員人事の真意に迫る。