まもなく平成時代が終わり、新しい令和時代が幕を開ける。平成時代を振り返ると、日本のマクロ経済は「バブル崩壊後の長期低迷期」であったが、令和時代は平成時代に問題とされていたことが一気に解決し、少なくとも最初の10年間は黄金期とでも呼ぶべき素晴らしい時代となろう。
というのが本稿の結論であるから、筆者は超少数派かもしれない。「改元の時くらい、明るい気分になりたい」読者には、ぜひとも拙稿を熟読して明るい気分になっていただきたい。
そうでない読者におかれては、拙稿を「非常識だ」と切り捨てるのではなく、「(拙稿の)どこが間違えているのだろう」といった批判的な目でお読みになり、頭の体操を楽しんでいただければ幸いである。
筆者としては、読者の頭の体操の一助となるだけでも幸せであるが、「どこが間違えているのかわからなかったから、塚崎説を信じることにした」という読者が少しでもいてくだされば、望外の幸せである。
平成時代は「バブル崩壊後の長期低迷期」
平成時代は、幕開けこそバブルが頂点にさしかかった「日本経済の絶頂期」であったが、バブルが崩壊してからは、多くの人々の予想を裏切り続けて長期低迷が続き、マクロ経済面ではまことに暗い時代であった。
諸問題の根源は、失業だ。当初はバブルの崩壊や、それに伴う不良債権問題が失業の主因とされたが、それが一段落しても失業問題が続いたのは、本源的な理由が別にあったからである。
人々が勤勉に働いて物(財およびサービス、以下同様)を大量に作り、人々が倹約して物を少ししか買わなかったために、物が大量に売れ残った。そこで企業は生産量を減らし、雇用を減らした。それによって、大量の失業者が生まれた。
人々がバブル時代と同じように働いて物を作り、バブル時代よりはるかに質素な暮らしをすれば、大量の失業が生まれるのも、仕方なかったといえよう。