鈴木伸武氏インタビューすずき・のぶたけ/大阪大学基礎工学部物性物理工学科を卒業後、1991年4月に三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2002年9月にグローバル・ブレインに転職しパートナー就任。18年7月に三菱UFJ銀行に復職し、今年1月より現職 Photo by T.T.

――従来の銀行の投資案件には、投資家目線に立ったとき、提携面で問題を残す案件もあったのでしょうか。

 細かくは言えませんが、例えばキャピタリスト目線に立つとデューディリジェンス(投資先の価値評価)が甘いなど、投資と協業の両面で課題はあったと思います。

――そこに外部から投資の経験者を入れ、審査を厳格化するということでしょうか。

 おっしゃる通りです。一方で、協業もしっかり作っていく必要があり、非常に難しいことを両立させようとしています。今、日本には250社ほどのCVCがあり、私自身は16年間キャピタリストをやってきました。また、三菱UFJIPの副社長もかつてリクルートでCVCを担当した者で、お互い知見があります。過去の経験を踏まえると、ベストな形ができたのではないかと思っています。

 三菱UFJIPでは、CVCを熟知している者が投資の専任担当者です。たとえ、ある案件で協業の話が盛り上がったとしても、いったん一歩身を引き、候補の企業がグローバルでどのような立ち位置かを見直します。なぜこれをしているかというと、同じ領域で1番手や2番手ではないと投資はうまくいかないという経験を持っているからです。このキャピタリスト的な冷徹な投資判断と、実際に三菱UFJFGとの協業の可能性の観点から、案件を見ることになります。

 加えて組織内には、三菱UFJFGの主要部門の次長クラスから兼務者を出してもらい、私たちが持ってきた投資案件のつなぎ込みをお願いしています。専門の担当者と兼務者が、車の両輪として案件をドライブしていくことで、できるだけベストな案件に投資をしていきます。