部下が会議で思わず発言したくなる伝え方
【Case5】自分の意見や考えを発信してほしい
新人時代は、会議でなかなか自分の意見を言えないもの。皆さんにもきっと、覚えがあることでしょう。
緊張して発言できないだけでなく、自分の意見を言うのが苦手という新人も少なくありません。かといって
×「会議では積極的に発言して!」
と言っても、よけいに緊張感をあおってしまい、逆効果です。その新人は、会議中、毛穴という毛穴から汗をかきつづけることになるでしょう。
そんな時は、会議の前にこんな伝え方をしてはいかがでしょうか?
〇「いろいろなことにアンテナを張っている吉田君の意見があると、企画がおもしろくなると思うんだ。次の会議ミーティングでは、始めに吉田君の考えをシェアしてもらえないかな?」
これは「認められたい欲」「相手の好きなこと」という2つの技術を使った伝え方です。
人は、認められると相手の期待に応えたくなるもの。「いろいろなことにアンテナを張っている吉田君」という言葉から、「いつも自分のことを見てくれている。そしてアンテナを張っていることを評価してくれている」という喜びを感じ、期待に応えようと思ってくれるようになります。「アンテナ」の部分は、「トレンドに詳しい吉田君」「若者のカルチャーをよく知っている吉田君」など、相手によってアレンジするといいでしょう。
また、「企画がおもしろくなる」というのは相手の好きなこと。自分の意見で企画がよくなるのは、新人にとっては嬉しいものです。会議の日までに頑張って自分の意見をまとめ、発表してくれることでしょう。
【Case6】言ったことはちゃんとメモしてほしい
「メモを取らない新人」に悩んでいる上司は多いようです。いくら指導しても、メモを取らないから右から左に抜けてしまう。でも本人は「覚えているから大丈夫」と言い張る…。
しかし、
×「ちゃんとメモを取って!」
と言い続けるのは疲れるし、言われる側も「また同じこと言っている」といやな気持になってしまい、悪循環です。
そんな悩みは、次のような伝え方で解決してみてはいかがでしょう?
〇「メモを取ると、後の振り返りが楽になるから、鈴木君の仕事もすごくスムーズに進むよ」
これは「相手の好きなこと」を使った伝え方です。「振り返りが楽」「仕事がスムーズに進む」というのは、相手が嬉しいこと。相手のメリットを伝えることで、今まで動かなかった新人も気持ちよく動けるようになります。
「認められたい欲」…人は期待されると、その通りの成果を出したくなるもの。ビジネスに家族に、効果絶大です。
まとめ
今回、いろいろな伝え方の技術を解説しましたが、新人への伝え方として最も有効なのは「相手の好きなこと」という技術。
新人が何を言われるとうれしいのかを考え、まずそこから伝えること。そしてその後、本題である「やってほしいこと・直してほしいこと」を続けるといいでしょう。この順番にすると、相手が受ける印象が格段に良くなるうえに、こちらが願う行動をとってくれる可能性がぐんと高まります。新人も、伝える側である上司や先輩も、どちらもハッピーになれる伝え方ですので、ぜひ覚えておいてくださいね。
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp