このような事情があるから、「李彦宏氏が院士になることに断固反対する」という文章がネットで大量にリツイートされ、またたくまに10万を突破した。李彦宏氏が中国工程院の院士の候補になるということに対して、ネットユーザーは圧倒的に反対している。

 Wechat(ウィチャット)公式アカウントでは、「断固反対」と書いた人も大勢いた。李彦宏は「蒲田系工程院院士」で、まさか「どうやって広告でお金を稼ぐかを研究する」のではないか、とからかう人も結構いた。新京報などのメディアも、政府当局は世論を直視する必要があるとの報道をしている。

 院士の選定はアカデミーの領域に属する話だが、時代が進歩するにつれ、イノベーションに科学的に挑んだ企業家に院士の門を開いたことは、別におかしなことではない。しかし、世論は院士に対して人格も求める。その意味では、百度の李氏はモラルの面では社会から厳しく採点されている。

騒動を通してわかった
百度の人気のなさ

 2019年の工程院院士の増員は80名を超えないと見られている。ノミネートされた候補者の531名の大半が最後まで残らない。李氏が果たして院士になることができるかは、まだわからない。

 しかし、今回の騒ぎを通してわかったのは、百度の人気のなさだ。中国市場から追い出されたグーグルは、近年中国市場に再進出するために色々な可能性を探っている。中国市場に進出するために、去年の夏からあるプロジェクトを秘密裡に進めていた。検閲機能つき検索エンジン「トンボ」(Dragonfly)の開発だ。

「トンボ」プロジェクトがスクープされてから、アメリカ各方面から強い反対の声があがった。昨年末、グーグル社内からも1000人あまりの技術者や設計士および管理職が連署して、トンボプロジェクトの停止を求めていた。

 香港メディアの報道によれば、中国でグーグルが新しい検索エンジンをリリースするという計画はなくなったそうで、このプロジェクトに携わっていたチームも新しいプロジェクトに移った、という。

 中国出張時はまだ百度しか利用できないことを考えると、やや憂鬱になる。明日は中国だ。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)