中国ライドシェアの
覇者となった滴滴
「順風車」。この1週間、中国で最も話題になったキーワードだ。しかし、漢字で書かれたこの言葉の意味が分かる日本人の読者は少ないと思う。スマートフォンの普及によって生まれた「ヒッチ」、つまり「相乗りサービス」のこと。新しいビジネスとして世界中で注目を集める「シェアリングエコノミー」の一つで、日本では「ライドシェアサービス」と呼ばれているものだ。
だが日本では、「第2種運転免許」を持っていない人が自家用車を使って客を有料で運ぶことを禁止している。つまり、ライドシェアはいわゆる「白タク」と呼ばれる違法行為となり、取り締まりの対象だ。
そうした規制の厳しい日本と違って、中国ではインターネット時代の新しい技術を大胆に使った新しいビジネスが大々的に奨励している。そのため、既存のタクシー業界は今、シェアリングエコノミーの荒波にさらされているのだ。
その中で、滴滴出行(略称は滴滴、DiDi)という配車アプリ会社は、巨額の投資金を武器に「快的打車(Kuaidi Dache)」「優歩(Uber China)」を相次いで合併。熾烈な競争に打ち勝って、中国ライドシェアの覇者へとのし上がり、アプリ配車市場で80%以上のシェアを占めるに至った。