意志力で「こう生きたい」と願う人生を生きる

 あなたには心から感動した本、スピーチ、名言などがあるだろうか? 人生の見方を大きく変えたなにかがあるだろうか? あなたの心を動かしたのは、おそらくはなんらかの叡智であり、その叡智を活用すれば、あなたはもっと楽に、よりよく、すっきりと生きられるようになり、人生をコントロールできるようになるはずだ。

 では、そうした叡智を、いま、どの程度活用できているだろう? 頭のなかで考えているだけではなく、実際にその叡智を活用してなにか行動を起こせているだろうか? あなたは以前よりいい人間に、友人に、仲間になっているだろうか?

 あるいはダイエットに成功したあと、その体重をキープできているだろうか? 以前より幸福になっているだろうか? あなたがどんな叡智に心を動かされたにせよ、いまではその感動はすっかり色褪せてしまったかもしれない。そうした叡智がなんの役にも立たなかったわけじゃない。ただ、あなたの生活に根づかなかったのだ。なぜだろう?

 慌ただしい毎日をすごしていると、自分の信念と行動のあいだに大きな溝ができてしまう。できるだけ楽な道を進もうとした結果、心から大切に思っているものからどんどん離れてしまうこともある。そのうえ、心の底から実現を願っている変化を起こすためには、常に努力を続けなければならない。

 アスリートならわかっているように、筋肉をつけるには、繰り返し酷使しなければならない。意志力を高めるのも同じことだ。筋肉をつけるように意志力を鍛え、すぐにへたばることがないよう強靭にしなければならないのだ。

 瞑想するのを「忘れちゃった」と平気で言ったり、ヨガをさぼる言い訳を並べたりするのは簡単だけれど、日々の責務をほっぽっていたら、すぐに深刻な悪影響が及ぶ。だから新たなルーティンを身につけるには、多忙な日々のスケジュールにうまく組み込むべきだ。

 意志力を高めると同時に、目的を果たしつつ1日をきちんとすごせるようになれば、言うことはない。バレットジャーナル・メソッドは、信念と行動のあいだに広がる溝に橋を渡す役割を果たす。バレットジャーナルを活用すれば、人生の核をなす目標を意識して日々をすごせるようになる。

みずからの力で道を切り開く

 バレットジャーナル・ユーザーのエイミー・ヘインズは、いまでは「しなければならないこと」を整理できただけではなく、仕事のアイディア、見習いたい人、チェックすべきアプリ、試してみたい紅茶など、さまざまな内容をノートに記録している。

 それに、「コレクション」(関連情報を整理するテンプレート)をカスタマイズするようになったおかげで、終わりのないToDoリストのせいで気が滅入ることもなくなったし、本当にしたいことを常に意識できるようになった。重要だけれど忘れてしまいがちなことを、ノートを見ればいつでも思いだせるようにもなった。

 バレットジャーナルを活用していれば、なにが重要で(What)、なぜ重要なのか(Why)、そうした目標を達成するにはどうするのが最善か(How)をしっかりと考える習慣が自然と身につく。毎日、自分の心を見つめるようにうながされるので、たとえ重役室にいようが、教室にいようが、病院にいようが、内省を実践できるようになるからだ。

 これまでに多くのバレットジャーナル・ユーザーが、憧れていた仕事に就いたり、起業したり、ストレスだらけの人間関係に終止符を打ったり、引越しをしたりしてきた。なかにはバレットジャーナルの指針に従い、日々、内省の時間をもつうちに、ありのままの自分に満足できるようになった人もいる。

 バレットジャーナルのノート術は、世界各地のさまざまな慣習からヒントを得ている。プリズムに光が反射するように、多様な慣習を吸収し、それをひとつの強烈な光線に集束させたといえるだろう。

 その光は、きっと読者のみなさんの足元を照らしだし、将来に続く道がよく見えるようにするはずだ。目的意識をもって人生を歩むうちに、あなたは一介の乗客ではなくなり、みずからの力で道を切り開いていけるようになるだろう。