今世界中で大ブームとなっているバレットジャーナル。それは、幼少期から注意欠陥障害(ADD)で苦しんできたライダー・キャロル氏が、「いま、ここ」に集中するために開発したノート術だ。どこにでもあるノートを1冊使うだけなのに、「不安が減った」「成績が良くなった」などと効果を実感する人が世界中で続出している。誰もが毎日、大量の情報に振り回され、大切なことを見失いがちな時代、このアナログのノート術は、少し立ち止まって頭のなかを整理できる力がある。本連載では、発案者であるライダー氏が書き下ろした初の公式ガイド『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』から本文の一部を抜粋して特別公開する。

頭のなかを整理するために編みだした
究極のノート術とは?

ライダー・キャロル(Ryder Carroll)
バレットジャーナルの発案者。デジタルプロダクト・デザイナー
ニューヨークのデザイン会社でアプリやゲームなどのデジタルコンテンツの開発に携わり、これまでアディダスやアメリカン・エキスプレス、タルボットなどのデザインに関わる。バレットジャーナルは、デジタル世代のための人生を変えるアナログ・メソッドとして注目を集め、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ファスト・カンパニー、LAタイムズ、BBC、ブルームバーグなど多くのメディアで紹介。またたく間に世界的なブームとなる。初めての公式ガイドとなる本書は、アメリカで発売後ベストセラーとなり、世界29か国で刊行される。
著者公式サイト
http://www.rydercarroll.com/
バレットジャーナル公式サイト
https://bulletjournal.com/

 僕の問題は、小学校に入学してほどなく始まった。成績はいつも恐ろしく悪く、先生たちは顔を真っ赤にして怒り、頼みの綱だった家庭教師たちも次々と辞めていった。あまりにも成績が悪かったので、夏休みは何日も特別支援学級やカウンセラーのところに通った。そしてついに、注意欠陥障害(ADD)という診断がくだされた。

 これは1980年代の話であり、僕の発達障害の症状より魚のボラの特徴のほうがよく理解されていたような時代だった。入手できる情報はほとんどなかったし、たとえ情報があったとしても複雑すぎて役に立たないか、僕が必要としているものには対応していなかった。

 いちばんの悩みのタネは、集中しなければならないときに、自分では手綱を締められないことだった。

 とはいえ、まったく集中できなかったわけじゃない。やるべきことにやるべきタイミングで集中し、「いま」に意識を向けるのがむずかしかったのだ。僕の注意はいつだって、次のきらきらと輝くものへと飛んでいってしまう。

 そうやって、あちこちに気を散らし続けているうちに、「しなければならないこと」がどんどん積みあがり、しまいには手がつけられない量にまで膨れあがった。だから、言われたことができないとか、みんなより遅れているとかということがしょっちゅうあった。

 明けても暮れてもそんなふうに落ち込んでいるうちに、僕はしだいに重度の自己不信にさいなまれるようになった。おまけに「おまえはダメなやつだ」「どうせ、おまえにはできない」と頭のなかで自分に言い続けているうちに、いっそう集中できなくなった。

 こうした悩みとは無縁で、日常生活をごく自然に送っている同級生たちのことを、僕は心から尊敬した。彼らはいざ集中するとなったら気を散らさないし、ノートには授業の内容が細かく記入されていた。

 そうした秩序や規律といったものは、自分には手が届かない、とても美しいものに思えて、僕は整然としたものにいっそう憧れるようになった。その秘訣をさぐりだしたい。そう考えた僕は、頭のなかを少しでも整理しようと、ひとつずつ、ささやかな工夫を積み重ねていった。

 山ほどの失敗を重ねては、ほんのときたまうまくいくという試行錯誤を繰り返し、成果があがった方法を少しずつ組み合わせていった。そのすべてを、僕は昔ながらの紙のノートのなかでおこなった。スケジュール帳、日記、備忘録、ToDoリスト、スケッチブックの機能を、1冊のノートにまとめたのだ。

 こうして、混乱しがちな頭のなかを整理するための、実用的ではあるけれど融通のきくツールが誕生した。このノートを活用するようになってからだんだん気が散らなくなったうえ、しなければならないことが多すぎてお手上げ状態になることがなくなり、生産性もぐんとアップした。

 やがて「自分が直面している問題を解決できるのは自分しかいない」こともわかってきた。さらに重要なことに、僕にはそれだけの力があることもわかったのだ!