子どもも糖質制限&1日2食がいい

 糖質制限食は、ぽっと出の目新しいダイエット法ではありません。
 ちょっと仰々しくいうと「人類700万年の歴史を受け継ぐ、ヒトという動物の生理に則した食事」なのです。
 私たち人類にとっての正解の食事ともいえます。

 さらに、大人には適するけれど、子どもには適さないということもありません。
 近年は糖質の過食と運動不足により、子どもにも内臓脂肪型の肥満や糖尿病が増えてきました。
 糖質制限は大人だけでなく、子どもの肥満や糖尿病も予防し、改善するのです。
 小学校や中学校に通っていると、子どもは昼食を抜いたり、給食で糖質制限をするわけにもいきません。
 保護者が手作りするお弁当なら糖質制限もできるでしょうが、給食だと糖質をカットするのが難しいです。
 この点に関しては今後、理解を示す学校が増えることを期待しています。

 糖質制限とともに、1日2食も子どもにおすすめです。
 その場合、やはり夕食は摂っておきたいので、朝食抜きの1日2食がいいでしょう。

 ときに「子どもが朝食を抜くのはけしからん」というお叱りを受けることがあります。その根拠になっているのは、朝食を食べないと(朝食を食べるより)、学校の成績が低かったという調査報告があることです。
 しかし、これは眉に唾をつけなくてはいけません。

 この報告は、一般的には次のように解釈されています。
「脳のエネルギー源は糖質(ブドウ糖)だけ。朝食でご飯やパンなどをしっかり食べてブドウ糖を摂ると、脳がきちんと働くようになるので成績がよくなった」
 医者や栄養士でも「脳の栄養素は糖質(ブドウ糖)だけだから、糖質制限をすると脳が働かなくなる」と信じている人がいますが、脳のエネルギー源が糖質(ブドウ糖)だけというのは明らかな間違いです。

 脳を作っている神経細胞は、糖質だけでなく脂質(脂肪酸)から生じるケトン体という物質もエネルギー源にしています。
 ケトン体は糖質制限をすると増えてきますが、そのケトン体が脳のエネルギー源になります。
 そもそも糖質制限をしても、肝臓でたんぱく質(アミノ酸)などから糖質(ブドウ糖)を作る糖新生という作用によって血糖の値は正常に保たれます。
 生まれたばかりの新生児も、脳の重要なエネルギー源としてケトン体が使われていることがわかっています。

 もし糖質制限をして頭がぼーっとするとしたら、糖質と同時にカロリー制限をするなどして、エネルギー不足になっていることが原因です。
 糖質制限で成績が下がるという説には、科学的な根拠がなんらありません。
 この報告を私なりに解釈するなら、次のようになります。
「朝食なしのグループでは夜更かしをしたり、保護者が朝食を用意しないなど、家庭環境や生活習慣が乱れており、学習に身が入らない状況。朝食ありのグループは家庭環境と生活習慣が整っており、勉強時間も十二分に取れているため、成績は相対的に高くなる」

(次回へ続く)