『日本人のための科学的に正しい食事術』を上梓した、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩氏が、最新エビデンスに基づき、日本人のあるべき食事を紹介する。今回のテーマは、昨今ダイエットの天敵として、とかく悪者にされがちな「炭水化物」について。砂糖などの糖類を筆頭に、糖質のとりすぎは体に良くないこともあるが、極端な糖質制限の危険性も知っておく必要がある。
糖質制限ダイエットは
なぜここまで人気なのか
このところ、糖質とほぼ同義にとらえられることもある炭水化物は旗色が悪い。
糖質を制限することで、血糖値が上がりにくくなり、体重の減少効果も得やすいというダイエット方法が人気を博している影響も強いだろう。
しかし、日本人の腸内環境を考えると、気を付けなくてはならない点もある。その詳細に進む前に、まずは糖質制限がなぜここまで支持を得ているのかという点から、糖質制限の背景を考えておこう。
血糖値を上げやすい糖質食品の代表といえば、糖類に分類される砂糖だろう。
過去10年間に発表された計36の疫学研究を統合的に解析した報告では、砂糖入り飲料の摂取量が増えると、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、心臓病や脳卒中のリスクが高まるとしている。週に2サービング(約700ml)飲むだけでリスクが上がる疾患もあった(*1)。