脱ゴーンを進める日産の19年3月期の営業利益は45%減の3182億円で営業利益率は2.7%にとどまり、提携先の仏ルノーを下回ってしまった。ホンダの営業利益も13%減の7263億円だが、四輪事業の営業利益は、44%減の2096億円で営業利益率は1.9%にまで低下した。トヨタのライバルだった日産・ホンダの苦境に加えて、スズキやスバルが検査不正問題を起こし、日本車のものづくりの品質を毀損(きそん)するような状況も生じている。

“日本自動車株式会社”を強く意識させる
豊田章男自工会会長のあいさつとは

 トヨタが19年3月期連結業績で、売上高30兆2256億円、前期比3%増で初の30兆円乗せとなり営業利益も3%増の2兆4675億円で営業業利益率7.5%と順調な業績を示したことで「トヨタ一人勝ち」との見方も出ているほどだ。

 トヨタは、今期(20年3月期)も売上高は前期比1%減の30兆円だが、営業利益で3%増の2兆2500億円、純利益は19%増の2兆2500億円となる見通しだ。

 この決算発表会見で豊田章男社長は「設備投資、研究開発、株主還元でそれぞれ1兆円をあてながら企業のモデルチェンジをする」と高水準の利益を背景にモビリティ企業への変身を進める。特許の解放や他社との連携強化などを通じて「移動サービスのプラットフォーマーへの道が開ける」とも宣言した。

 このトヨタの順調な業績を背景にしたトヨタ社長としての自信の深まりと決意の延長線であるかのように、豊田章男自工会会長としての定時総会後の会長会見と懇親会での挨拶(あいさつ)は“日本自動車株式会社”を強く意識させるものだった。

「時節柄、各社の決算が出そろったタイミングであり、各社の数字を足し上げて“日本自動車株式会社”の状況をご説明したい。それは、売り上げ75兆円、営業利益5兆円となる。しかし、これは連結であって海外も含めたもの。単独(国内)業績では売り上げ30兆円、営業利益は2兆円弱であり、単独はいずれも連結の4割くらいになってしまう」

「これを平成初期の数字で見てみると、連結売上は30兆円程度、単独だと24兆円だった。つまり、この時期は単独が連結の8割を占めていた。売り上げは、この30年間で大きく伸びているが、伸びているのは連結であって単独はそれほど伸びていない。海外向け部品が増えたことを踏まえると、実質的に単独は伸びていないのではないか。これを見ても昔は日本国内で商売できたが、今ではそうでなくなったことがわかる。平成は、米国そして中国が伸びた時代で日本での商売はどんどん厳しくなった結果だ」

「一方で、われわれ“日本自動車株式会社”は、税収貢献でいえば2兆円を納めている。さらに関連産業、ユーザー、就業者を含めた産業全体で見れば総税収貢献は、15兆円にのぼる。国プラス地方の総税収は100兆円レベルなので約15%を占め、自動車関連全体の雇用も500万人以上いる。われわれは、もっと税金を納めていきたいと考えているし、言い換えれば、もっと日本に貢献したいし、貢献できると思っている。

 雇用も守っていきたいし、できることなら増やしていきたい。世界と戦える高いスキルを持った人を育成できると思っている。日本が世界をリードしていくことへのお手伝いができる」

「そこには、リアルの世界が必要。そう思って、平成の“日本自動車株式会社”は、石にかじりつきながらリアルを守ってきた。しかし、このまま国内生産が減っていってしまうなら守りきれないかもしれない。日本はますます世界と戦っていけなくなる。雇用だって守れなくなる。令和の時代をそんなふうにしたくない。“日本自動車株式会社”としては、日本を強くするためのお役に立てるよう全員で頑張っていきたい」