レストランではおいしい料理や酒を片手にいろいろな話で盛り上がった。CはB子に尋ねた。

「ところで、君たちがバンコクに来た一番の目的は何?」

 B子はA子に目配せしながら言った。

「A子がね、3年間もつきあった彼氏に振られたのよ。だから励まそうと思ったの」

 Cは気の毒そうな顔をしつつ、こう言った。

「そうだったんだ。A子さんみたいなカワイイ女性を振るなんて、僕だったら絶対しないなあ。どう?僕とつきあわない?君のこと、好きになっちゃった」

 突然だったが、A子は嬉しかった。なぜなら会話をしているうちに、かっこいいだけではなく優しくて話が面白いCの虜になっていたからだった。

 Cの申し出を受けたA子は、その後帰国するまでCと一緒に過ごした。昼は観光地を案内してもらい、夜は彼のマンションに泊まった。

 一方、B子はA子の突飛な行動にあきれたが、1人でマッサージを受けたり、グルメやショッピングを満喫していた。そして最終日に空港で待ち合わせ2人はご機嫌で帰国した。

夏休みに再会する約束を交わすが
A子はある決意をする

 帰国後もA子とCは毎日インスタでやり取りを続けた。8月の夏休みにバンコクで再会する約束を交わしたものの、Cと毎日一緒にいたい気持ちは募る一方だった。そして6月に入り、思い余って自分の気持ちを伝えると、彼は喜んだ。

「じゃあバンコクにおいで」

 Cはバンコクには日本人相手の仕事が多数あり、仕事は日本語でOK、タイ語は話せなくても大丈夫だと教えてくれた。その話を聞いて安心したA子は即座にバンコク移住を決めた。

 次の日、A子は出勤すると早速D社長に言った。

「会社を辞めさせていただきます」

 A子の突然の申し出に驚いたD社長は、慌てて尋ねた。

「どういうこと?理由は何だ?」