台風25号が九州へ接近していた昨年10月6日には、サガン鳥栖がホームに湘南ベルマーレを迎えるリーグ戦の開催決定を試合当日に下している。来場するファンやサポーターの安全を考慮しながら、ギリギリまで決断を遅らせた鳥栖の竹原稔代表取締役社長は、理由をこう語っていた。

「そうしなければ、その後が超過密日程になっていた。すべて勝ってJ1に残留するためにも避けたかったし、だからこそ雨風が止むだろう、という想定のもとで湘南戦はぎりぎりまで待ちました」

 幸いにも台風25号はコースをそれ、湘南戦は曇り空のもとで行われた。日程にはあらかじめ予備日が設けられているが、コパ・アメリカのために特にJ1を中断すれば予備日まで埋まってしまい、夏場以降の気候変動など、不測の事態に対応することが極めて難しくなる。

 Jリーグが発足した当初は、目的として日本代表の強化が謳われた。四半世紀以上の時間が経過した今、JFAとJリーグは車の両輪として日本サッカー界をけん引していく役割を負う。ワールドカップイヤーではない今シーズンに長期中断を設けなかったのは、当然の判断と言っていい。

 結果としてコパ・アメリカには、母国開催のヒノキ舞台へ向けた強化にしたいとJクラブを説得し、東京五輪代表に名前を連ねると予想される若手たちをフル代表として招集。川島や岡崎らのベテラン勢が縁の下で支えるチーム編成になった。もちろん、2つの代表チーム編成にポジティブな要素がないわけではない。

 フル代表との兼任監督になって以来、森保監督が東京五輪世代を指導したのは昨年8月のアジア競技大会の一度しかない。全幅の信頼を置く横内昭展コーチが監督代行を務めてきたなかで、コパ・アメリカの期間中は腰をすえて長い時間を共有し、戦術や意識を浸透させていくことができる。

「東京五輪では金メダルを取りたい。そのためにはフル代表で出られるくらいの力を持った選手がいなければ、目標達成は難しい。若い選手がコパ・アメリカという素晴らしく、そして厳しい大会に出ることによって成長し、ワールドカップ予選や東京五輪での成果へつなげていければ」

 何とか編成したコパ・アメリカに臨むフル代表を、喫緊の課題である世代交代をさらに加速させるためのチャンスに変えたいと指揮官は力を込める。2つのフル代表で重複する選手が9人という点も難産を物語るが、そのなかにはFC東京でますます眩い輝きを放つ17歳、MF久保建英が含まれている。