仕事に関するお願いだと、相手が即答できないことがわかっているものもある。その場合、「ちょっと検討してみます」「上司に聞いてみます」と返されることは、こちらはあらかじめわかっている。しかし、その「検討」がどれだけ実現可能なのかは、相手の声のトーンや受け答えまでの微妙な間を確認しなくてはわからない。電話で相手の声を聞き、実現が限りなく不可能に近いと判断した場合は、次の策に出るか、もしくは諦めなければならない。そうした判断が、メールの文面だけではつけにくい。

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 とはいえ、突然の電話が相手にとって迷惑行為だということも理解できる。そのため、筆者はなるべく事前に、「いま電話しても大丈夫ですか」とメールやメッセージをするように心がけている。相手のニュアンスをつかむという意味でいえば、たとえばスカイプのような映像と音声を組み合わせたものがベストだが、突然かけるのは難しそうだ。

 これは、身体と時間という物理法則が絡んでいる問題なだけに、いくらテクノロジーが進化しようともそう簡単に解決できる問題ではないものの、ぜひ開発者の方やコミュニケーションの専門家には真剣に考えてほしい課題である。わがままを言わせてもらうならば、「どこでもドア」がほしい。仮に実現したら、気軽にリアルの打ち合わせの場を設ける機会が増えるはずだ。やっぱり、筆者はより「リアル」なコミュニケーションにいまだ価値を感じている。

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(フリーライター 宮崎智之)