「烏《からす》」に「賊《ぞく》」と書いてなぜ「烏賊《いか》」と読ませるのか。
不思議に思ったことはありませんか?
その理由を、かの『南総里見八犬伝』の作者・滝澤馬琴が、『俳諧歳時記栞草《はいかいさいじきしおりぐさ》』にこのように書いています。
「『其の性、鳥を嗜《たしな》み自ら水上に浮かぶ。飛ぶ鳥、此れを観て、死せりとし此れを啄《ついば》む。即《すなわ》ち巻取りて水に入り、此れを食う。因って、烏賊と名附く。』という話が載せられている。これは、烏賊が死んだふりをして水面を漂い、これを捕獲しようとして舞い降りて来る鳥を、逆に捕まえて食すという策略で、『南越志』という(中国の)古書からの引用である。」
つまり烏賊は、「烏」を「賊害《ぞくがい》(=殺傷)」するので「烏賊」と書くようになった、と。
【材料】烏賊の胴…1杯/酒…大さじ3/醤油…大さじ3
【作り方】①烏賊の胴の皮を剥き、縦に切り目を入れて丸め、糸で巻く。②酒と醤油を煮立たせ、1を入れてさっと煮、自然に冷ましたら1cm幅の小口切りにする。
※七味、青海苔を添えて
ただし、『南越志』の記述はまるでおとぎ話です。
カモメやアホウドリなどの鳥類が烏賊を食べることはあっても、逆に烏賊が、生きている鳥を捕まえて食べるとは考えにくいからです。
しかも烏は陸地に住むため、沖合にいる烏賊をわざわざ狙いに行くとは思えません。
烏賊の種類は日本だけで約130種類、世界を含めれば約500種類に及びます。
語源となった、利口で凶暴な烏賊もいないとは限りませんが、烏を食べた烏賊だと思うと、なんとなく食欲が失せますね(苦笑)。