一味違う「麻布」の問題
広尾学園、フェリス女学院と、難関中学の入試問題を2回取り上げた。今回は東京男子私立中高一貫校御三家の1つ、「麻布」の計算問題である。
男子御三家の中でも、生徒を大人として扱う自由な校風では抜きんでた存在の麻布だが、入試問題も独特で、2019年入試では理科の問題(コーヒーの焙煎から抽出までの科学的な考察)が話題になっている。中学受験塾でも、麻布を受ける生徒にはこの学校の算数問題に適応できるよう特別な指導がなされるほどで、それは他校との併願がしにくいことも意味している。
2019年入試の算数は、5つの大問が出題され、うち2問は図形問題だった。制限時間は60分なので1問を10分ほどで解いていかなければならない。
今回取り上げる計算問題は2017年に出題された。合格者の3人に1人しか正答しなかった難問で、「速さ」を問う新しい切り口の問題でもある。
Q ふだん、太一君は自宅から学校まで歩いて通っています。今週、太一君は自宅からある地点までは走り、残りは歩いて学校まで行くことにしました。月曜日は、自宅から99mだけ走ったところ、ふだんより1分早く学校に着きました。火曜日は、自宅から3分間だけ走ったところ、ふだんより8分早く学校に着きました。太一君は毎日同じ時刻に出発し、走る速さと歩く速さはそれぞれ一定とします。このとき、以下の質問に答えなさい。
(1)太一君の歩く速さは分速何mですか。
(2)水曜日は、走った時間と歩いた時間が同じでした。木曜日は、自宅と学校のちょうど中間の地点まで走ったところ、水曜日よりも4分遅く学校に着きました。太一君の自宅から学校までの距離は何mですか。
塾で解き方に習熟しても、その知識だけをあてはめるだけでは解くことはできない。問題文に書かれた情報の整理をしっかりと行ってから考えることが大切となる。こうした点に麻布のユニークさが表れている。