――再上場のタイミングは?

 未定です。再上場ありきではありませんが、東証一部上場の基準が厳しくなると、再上場は会社の強さの指標、信用力につながります。それができる会社になることが重要です。

 それよりも大事なのは、「職人に聞くと名前が出てくる存在」になること。グローバルで見たときにトップグループの会社と思われる会社はまだ少ない。そこを目指したい。シェアが一つの指標で、現場に出て調べなくても分かるくらいになれば、結果として再上場につながっていくと思います。

チョコ菓子から電動工具の世界へ転身した理由

――森澤社長は、コンサルタント時代や米食品大手マースジャパンリミテッド勤務時代にチョコなどの食品やペットフードなど一般の消費者向けの製品を扱ってきました。工機HDの製品は、消費者向けとはいえ、顧客の大半が建設業の職人。畑違いともいえる業界になぜ入ったのですか。

 工機HDに出資しているKKRから声が掛かったとき、最初は「私?なんで?」と感じました。詳しく話を聞くと、工機HDは日立工機の時代から研究してきた技術を受け継いでおり、製品の品質が優れていることが分かった。その良さをユーザーに理解されるよう、もっと突き詰める余地があると思いました。

 工機HD製品のユーザーは、工場の金属加工や建設現場で働く職人です。彼らがどのように工具を使っているのかを理解することで、製品の技術力をさらに磨くことができる。私は消費財の世界で「いかに消費者を理解するか」を懸命にやってきた。ユーザーとメーカーの持ち味である優れた技術の接点を作ることに、大きなチャンスを感じました。

 また、私は日頃から人との出会いにおいて、最初に会った時の感覚を大事にしています。工機HDの現会長や各最高責任者のCxOの方々とお会いしてピピッときました。

 それと私、大学の建築学科を卒業しているんです。形に残るもの、とくに大きな規模なものを作ることが面白いと思って進学し、職人仕事にも興味があった。新卒で入社したリクルートでは、ビル事業部で土地を購入してビルを開発する仕事を経験し、設計から関わっていました。