米国による制裁には四つのステップがある(下図参照)。第1ステップの“注意”に相当するのが、「Unverified List(UL。未検証リスト)」だ。米商務省は、アイシン精機と同じタイミングで中国企業37組織を一挙にULに加えるなど、引き締めを強化している。

 製品のエンドユーザーに対して、民間技術の軍事転用がないと米国が検証できなかった法人・個人がリストに掲載される。例えば、米政府からの問い合わせのメールに適切に対応しなかっただけで登録されることもあり得る。

 UL入りしたアイシン精機の子会社に目立った被害があるわけではないという。だが、一般論としては、ULに登録されると輸出時の申請手続きが免除されなくなり、業務の手続きが煩雑になるなど取引先にも影響を及ぼす。

 アイシン精機関係者は、「必要な情報提供や許可申請は滞りなくやってきた。登録を解除してもらうには、米中両国の監査が必要なのだがその日程は未定のままだ」と頭を抱えている。

 第2ステップの制裁が「Entity List(EL。懸念者リスト)」だ。「未検証」の段階を超え、米国に「害がある」と判断されれば、制裁がELにエスカレートする。

 ELは、まさしくファーウェイが難渋している制裁レベル。米企業からは部品やソフトウエアの調達を止められ、米国以外の企業からも規制品目の購入が制限される兵糧攻めに見舞われている。

 6月のG20大阪サミットなどで、米中和解モードを演出するシーンがあったとしても、長期的には両国による技術覇権、安全保障覇権の争いが激化することは疑いようがない。