ZTEを超える地獄

 そして、その覇権争いの主戦場にいるのがファーウェイである。国の貿易管理に詳しい業界関係者は、「米国の対イラン制裁違反を疑われている経緯もあり、ファーウェイが(第3ステップの)Denied Persons List(DPL。重大違反者リスト)へ進むのは当然だ」と言う。

 DPL掲載企業は、米国市場から締め出され、かつ米国や海外からの輸出もストップされる。多くの金融機関も自主的に取引を停止する。つまりDPLは、サッカーでイエローカード2枚を食らったも同然の措置だ。

 実際に、2018年4月にDPL入りした中国通信機器大手、ZTEは倒産寸前のふちにあった。結果的に、経営陣の刷新や10億ドルの罰金支払い、監視員の受け入れなど相当な譲歩をして、すんでのところで登録解除に至った。

 しかし、である。ファーウェイを待ち受けるのは、ZTEが経験した以上に過酷な地獄かもしれない。ZTEがイランへの制裁違反を認めて「米国にひれ伏した」のとは対照的に、ファーウェイは米国と徹底抗戦の構えを崩していないからだ。

 ファーウェイは、自社製品を政府調達から締め出す米国防権限法を違憲と訴えたり、オバマ政権時代の元高官をロビイストとして雇ったりと、トランプ政権や米国議会を容赦なく刺激している。

 付け加えるならば、非公開企業であるファーウェイの場合、DPL入りしたところで、直ちに資金ショートに陥るわけではない。ここがZTEとは違うところだ。

 そこで、米国当局関係者の間でまことしやかにささやかれるのが、最終手段の行使である。財務省の「Specially Designated National List(SDN。金融制裁対象リスト)」に登録されると、ドル送金の禁止や在米資産の凍結が行使され、身動きが取れなくなる。

 狭まるファーウェイ包囲網──。米国は、中国を想定して全ての外国企業を対象に規制を厳格化している。中国政府も対米強硬手段を強めることは必至。米国と同様に、中国でも投資・輸出管理ルールなど規制が強化されれば、米中を2大市場に据える日本の製造業にとっては一大事だ。