新入社員が入ってきて2ヵ月が経過した。入社3年以内に退職していくことを「早期離職」と呼んでいるが、皆さんの職場でも早ければわずか数ヵ月で職場に見切りをつける新人がいることだろう。前回は「やりたい仕事病」のケースを取り上げた。今回は前回とは異なるケースを紹介しよう。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)
「成長したい」という
欲求が強い若者たち
衣料品製造会社の経営者Aさんは、最近、若手が不満を口にしているという話を耳にすることが多くなったという。だが、その不満の理由がよくわからないと不思議がった。
先日も入社3年目のBさんと面談し、何気ない会話の中から何が不満なのかを聞き出そうとしたものの、結局、彼の本心がつかめず、モヤモヤ感だけが残った。
そこで、Bさんの先輩・Cさんに相談。Bさんのために何をしてやればいいかのか、率直な考えを聞かせてほしいと頼んだ。
A社長「Bさんはしっかり働いてくれているけど、何が不満なのかがわからないんだ」
Cさん「上手く言えないんですが、Bさんは会社に対して特に不満があるわけではないと思いますよ」
A社長「でも、不満があるような話を聞いている。給料とか勤務条件とか、何が不満なのかな?」
Cさん「給料などの待遇に関しては、むしろ満足しているんじゃないですかね」
A社長「ということは、職場の人間関係で何か悩んでいるのかな?」
Cさん「いいえ、職場にも上手く溶け込んでいますよ。誰とでも気軽に話していますし…」
A社長「じゃあ何が不満なんだろう?」