米中対立は、華為技術(ファーウェイ)等との技術覇権争いや米中投資・融資問題、はては人種や文明の対決にまで拡大し、世界を氷河期に向かわせかねない状況となってきた。

 1882年に米国で「中国人排斥法」が制定され、1924年には「排日移民法」が成立した「黄禍論」の時代を想起させるような対中強硬論が、米国の一部で超党派的に広がる一因は、米国人が自国の経済力の強大を信じ、中国と対決、排斥することによる損失をあまり考えていないことがあるように思われる。

 日本でも反中論者には、米国が中国に厳しい経済政策をとり、屈服させることを期待する人が少なくないようだ。

米国の「圧倒的優位」は
検証の必要がある

 だが米国の経済力が中国に対し圧倒的に優位といえるか否かは、検証の必要がある。

 米国のGDPは、昨年IMF(国際通貨基金)によれば、20兆4940億ドルだった。一方で中国のGDPは13兆4074億ドルで、米国の65.5%だ。

 だが物価を勘案したPPP(購買力平価)計算だと、中国の同年のGDPは25兆2700億ドルで、すでに中国の方が23%大きい。

 市場価格を基礎とする一般的なGDP計算では、物価の高い国の産物、例えば魚が1尾1ドルとし、安い国では1尾20セントとすれば、物価の高い国の漁獲高は5倍になる。各国の物価の比較も容易ではないが、なるべく物価を勘案したPPPによる方が国の生産力の実態に近いと考えられる。

 日本財務省が今年5月24日に発表した各国の純債権では、日本は対外債権が昨年末で1018兆円余り、対外債務が676兆円余りで、純債権は341兆円余り、これは世界一だ。

 第2位のドイツは純債権が260兆円余り。次いで中国が236兆円余り、香港が143兆円余りだ。一方米国は純債務が1076兆円余りで最大の純債務国だ。

 日本は前年に比べ純債権が12兆円余り増加、中国は31兆円も増えた。これに対し米国は純債務が昨年191兆円余りもふくれ上がっている。

 外貨準備は中国が3兆1100億ドル、日本が1兆2600億ドルに対し米国は金塊などを含めても4500億ドルしかない。

 米国の物品の貿易赤字は、米商務省の発表で昨年8787億ドル(約98兆円)前年より10.4%増えた。サービスを含む貿易赤字は6221億ドルで、うち対中赤字は4192億ドル。

 一方、中国は貿易黒字が税関総署の発表では3517億ドル(約38兆円)で16.2%減だった。