エネルギーの消費量より、エネルギーの摂取量のほうが多い状態――つまり「食べすぎ」が続くと、肥満にもなれば、脂肪肝にもなるというわけです。

 一方、「飲みすぎ」と脂肪肝は、どう関係しているのでしょう。

 アルコールは、体にとっては基本的に「毒」です。

 そのため、お酒を飲むと、デトックスを担う肝臓がアルコールを分解してくれるのですが、じつは、その過程で中性脂肪が合成されます。この中性脂肪も肝臓に貯蔵されてしまうのです。

 昨今の「糖質敵視」の影響で、よく「焼酎やウイスキーなどの蒸留酒は糖質ゼロだから飲んでも太らない」といった説を聞きます。

 たしかに、蒸留されることで糖質は低くなりますが、アルコールが含まれている以上、体内で中性脂肪の合成をうながします。飲むお酒の種類には関係なく、飲みすぎはすべて脂肪肝につながるのです。

脂肪肝は自覚症状がないため
危機感を抱きづらい

 ざっと「食べすぎ」と「飲みすぎ」が脂肪肝を招くメカニズムを説明してきましたが、いかがでしょうか。

 脂肪は毒ではなく、肝臓のエネルギー貯蔵量が増えるぶんには問題ないじゃないか、と思ったかもしれませんが、それは大きな勘違いです。

 たとえば、同じタンス貯金でも、すべて1万円札で100万円と、すべて10円玉で100万円とでは、10円玉のほうが重量も体積も大きくなりますね。下手をすれば、タンスからはみ出して生活空間を圧迫したり、床が抜けたりしかねません。

 脂肪肝は、いってみれば、10円玉で100万円を貯金しているようなもの。肝臓に大きな負担をかけ、機能を損なわせてしまうのです。

 肝臓は、半年や1年間で全細胞が入れ替わるくらいターンオーバーが早い臓器ですが、脂肪が溜まりすぎると、ターンオーバーができなくなり、炎症が起こります。そして肝臓の細胞がどんどん硬く萎縮していきます。

 これが、いわゆる「慢性肝炎」「肝硬変」です。脂肪肝が肝炎、肝硬変にまで進行すると、肝臓ガンにかかりやすくなります。脂肪肝で死ぬことはありませんが、脂肪肝を放置すれば、確実に寿命を縮めるコースにはまってしまうことになるのです。

 肥満と違って、脂肪肝は見た目には表れません。