ティエン・ツォ(ズオラ創業者、CEO)ティエン・ツォ(ズオラ創業者、CEO)
Tien Tzuo/米セールスフォース・ドットコムの創業期に入社し、CMO(最高マーケティング責任者)やCSO(最高戦略責任者)を歴任。サブスクエコノミーの到来を予見し、2007年にズオラを創業。18年にニューヨーク証券取引所に上場。 Photo by Yasuhisa Wada

サブスクリプション化の波はあらゆる業界に押し寄せ、日本企業もその流れから逃れることはできない。では、どんな組織変革を迫られるのか。サブスクビジネスの伝道者に話を聞いた。

「単なる課金形態の変革ではなく、ビジネスモデルの変革である」

 世界中で急拡大するサブスクリプションの本質をそう喝破したのは、サブスクビジネスの伝道者であり、継続課金システムの世界最大手、米ズオラ創業者のティエン・ツォCEOだ。

「デジタルトランスフォーメーションがビジネスを製品中心から顧客中心に変え、顧客と企業の関係を変えるものだとすれば、全体としての企業の機能も変わることになる」からだ。

 20世紀型の企業組織は各部門が独立して運営されてきた。

「マーケティング部門は市場調査を行い、その結果を製造部門に伝えた。製造部門は製品の仕様を定めて生産した。製品は営業チームに引き渡され、彼らはそれをひたすら販売した。財務チームは金勘定だけに没頭した。IT部門に至っては、パスワードを忘れることでもなければ、会社に存在していることさえ忘れられていた」

 ツォCEOがそう指摘するように、これまでならそうした縦割り組織が理にかなっていた。

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