平成の30年間、多くの企業が倒産の憂き目に遭った。そんな激動の時代だったからこそ、ビジネスマンにとって財務知識は不可欠のノウハウとなった。本特集では、平成30年間にわたる財務関連の週刊ダイヤモンドの記事を、PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー計算書)の話題別に振り返る。

 次はBS(貸借対照表)だ。バブル期に高値でつかんだ、有価証券や不動産といった資産の価値が目減りするいっぽうで、借金が積み上がり、債務が重くのしかかる。そうしたBSのゆがみが企業を苦しめた。

 バブル経済真っただ中の1989年9月30日号に「怒濤のカリフォルニア買占め」という勇ましい特集があった。ハワイ州での日本人による不動産の集中豪雨的投資がカリフォルニア州に飛び火し、ロサンゼルスのダウンタウンの再開発は事実上、日本企業主導で行われているという内容である。

「東京23区の地価が米国全体の地価の合計を上回った」「日本企業が海外の不動産を買い占めた」というのは、バブル期の定番の話題だが、その後の地価下落によって、多くの企業は「含み損」という“病巣”を抱え込むことになった。つまりBSに計上している資産額(簿価)より、実際の市場価格(時価)が下回るという状況となったのだ。