10年間で自己資本比率は37.2%に上昇
負債圧縮が進み、総資産が膨らんだ

 欧米経済は、リーマンショック後、バブル崩壊によってバランスシート調整圧力に苦しんでいる。2000年代初頭から、低金利をテコに負債を増やし、バランスシートを膨らませた“つけ”が、信用収縮(デレバレッジ)として表われているのだ。

 翻って、負債圧縮が続いている状況は、日本経済も同じである。しかし、日本企業の場合、レバレッジを高めすぎた反動として、負債圧縮が行われている訳ではない。もはや90年代バブルの清算はほぼ終わっている。

 日本企業全体の自己資本比率を見ると、過去10年で25.6%から37.2%へと飛躍的に増強された(図表1)。日本の信用収縮は、不健全さの調整というよりも、企業がひたすら自己資本を増強し続けている行動の裏返しとして進んでいる印象がある。特に、2003年以降は、フローの企業収益を自己資本の上積みに振り向けて、必要以上に自己資本比率を高めるような行動に見える(図表2)。

 

 

 問題は、自己資本の増強がバランスシートのもう片側(資産サイド)で何に使われたかである。もしも、活発に設備投資を行なって、収益性の高い実物資産を積み増すことに集中しているのならば、それなりに合理的な選択だと言える。