製紙業界5位の北越紀州製紙と4位の大王製紙が資本提携交渉で大詰めを迎えている。
大王は前会長の巨額の借り入れ事件が発覚して以降、株式譲渡に関して創業家と経営陣間で対立が続いていた。この難題を一気に解決する秘策が、今回の資本提携だ。
北越紀州は、創業家が保有する大王株すべてを買い取り、大王への出資比率を2割以上に高めて筆頭株主となる。併せて、創業家の支配下にあるグループ会社株の大半を取得した後、大王に売却する。
これで大王は、分裂していたグループ経営を現経営陣に一本化し、事態の収束を図ることができるというわけだ。
一方、北越紀州にとっても提携のメリットは大きい。大王は北越紀州が手がけていない大人用紙おむつやティッシュペーパーに強みを持つなど、商品や地域で補完関係を築くことができるからだ。
岸本晢夫・北越紀州社長はかねて、業界2強の王子製紙、日本製紙グループ本社に次ぐ「第3極」を形成すると宣言。北越紀州と大王が手を結べばまさにその願いはかなう。
しかし「第3連合はそれにとどまらないはずだ」と業界首脳が指摘するのは、北越紀州と同じく三菱商事が出資する三菱製紙だ。同社の業績は低迷しており、単独での生き残りは難しい。北越紀州と大王、そして三菱は従来の紙専門商社を通さず、直販体制にシフトしているという共通点があり親和性が高い。
紙業界はメーカー・流通を含め旧態依然とした商習慣のため、低収益にあえいでいる側面がある。中堅メーカーの再編劇は、業界の健全な発展に一歩踏み出すことにつながる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)