中国景気は増勢が鈍化
デレバレッジ政策が重石
中国景気は、外需の低迷が続いているほか、内需の回復にも遅れがみられる。本稿では、中国の景気動向を点検したうえで、先行きを展望したい。
中国からの輸出は、米国による関税引き上げなどにより増勢が鈍化している。昨年7、8月に米トランプ政権が合計500億ドル規模の中国製品の関税率を25%に引き上げ、9月に2000億ドル規模の中国製品の関税率を10%に引き上げた。この結果、輸出総額の2割を占める米国向け輸出は、昨年末から前年割れが続いている。
さらに、他地域向けの輸出も伸び悩んでいる。世界的にIT需要の回復が遅れているほか、ブレグジット問題を背景とした不透明感から、アジア・EU景気が停滞したためである。
今年に入り底入れの兆しが見られた固定資産投資(設備投資、インフラ投資、住宅投資など)と実質小売売上高の増勢も、足元でやや鈍化している。昨年までのデレバレッジ(与信や債務の抑制)政策の影響が根強く残っているからだ。
デレバレッジ政策の柱は、銀行に対する金融規制の強化と、地方財政への監督強化の2つであった。銀行による簿外取引(いわゆるシャドーバンキング)の縮小や地方での野放図なインフラ投資の見直しにより、与信と債務の急拡大に歯止めがかかった。また、地下鉄や空港、高速道路など数多くのインフラ整備プロジェクトが停止し、多くの民間企業も深刻な資金繰り難に陥った。