ヨーカ堂改革めぐる一進一退の「攻防」
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流通最大手のセブン&アイ・ホールディングスが、傘下の総合スーパー「イトーヨーカ堂」の構造改革の検討に入ったことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。このほど、その方向性が固まり、現在、詰めの作業が行われている。だが、ここに至るまで、改革案作りは迷走し、混迷を極めた。プレミアム特集「セブン&アイ イトーヨーカ堂改革の迷走」第2回は迷走の原因を探るとともに、セブン&アイが抱える大きな問題について見ていくことにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 田島靖久、重石岳史)

出てきた改革案に怒った
イトーヨーカ堂社長

 5月下旬、東京都千代田区二番町のイトーヨーカ堂本社の会議室は、早朝から重い雰囲気に包まれていた。各店舗の店長など、部長以上の全社員による臨時の会議が開かれていたからだ。

 この日の議題は、10月にもまとめられる中期経営計画の柱、イトーヨーカ堂の構造改革について。イトーヨーカ堂の三枝富博社長や泉井清志・取締役専務執行役員ら幹部が居並ぶ中、担当者はまとめた案について説明していた。

 提示された案は、自前の売場面積を減らして、空いた売り場にテナントを導入、家賃を得て不動産収入で稼ぐというものだった。

 参加者によれば、三枝社長は「こんな案ではダメだ!」と怒り、やり直しを命じたという。

 というのも、これより前に三枝社長は、持ち株会社であるセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長から「聖域なき構造改革を進めるように」と申し渡されていたからだ。

 にもかかわらず、出てきた改革案が決して目新しくない、既に取り組んできたようなものだったことに怒りを感じたのだろう。

 だが、「聖域なき」と言った井阪社長も、少し前までは態度が違ったという。変わったのは、海外の機関投資家回りから帰ってきてからだ。

 セブン&アイは、2016年に米国の「物言う株主」であるサードポイントから、「イトーヨーカ堂やそごう・西武を切り離し、セブン-イレブンだけの会社として再建すべきだ」と迫られた経緯がある。

 今回の機関投資家回りでも、そうした圧力は根強かったようで、急きょ、抜本的な改革を指示したのではないかと関係者は見ている。

ヨーカ堂自身が出した改革案に
セブン&アイから横やり

 そもそも、セブン&アイが、イトーヨーカ堂の構造改革を本格化させたのは、今年4月のこと。半年後の10月に発表予定の中期経営計画で盛り込む予定にしており、対外的にも「具体的な戦略は、上期決算説明会にて発表予定」と打ちだしていた。

 そこで、当初、イトーヨーカ堂側から出てきた案は、第1回でお伝えしたような「首都圏集中・地方店分社化案」だった。