関心と愛情を注ぐ:ストロークの実践

 リーダーの持つ真摯さの具現化行動のもう一つは、肯定的なストロークが打てるかどうかです。

 ストロークとは、他者に対する関心と愛情の合図であり、どんな人間でもそれなしに生きていくことが難しいと言われている「人と人との心の触れ合い」です。

 『黒字浮上!最終指令』の沢井社長は、毎日午後になると工場の現場に出かけます。
  汗とほこりにまみえて働いている人たちに、ストロークを打つためです。

「子どもさんが生まれたんだって!?」「男なの、それとも女なの?」「そりゃぁ、よかった」という具合に、あっちこっちに声をかけながら工場の中を一巡りするのです。

  社長から関心と愛情の合図をもらった従業員は、笑顔でストロークのお返しをしてきます。
  そういう、関心と愛情のキャッチボールがごく自然に行なわれている状態が、「よい人間関係」であり、それが縁あって一緒に働く人たちの絆を強めるのです。

 「ご苦労さん!」「体具合は大丈夫か?」
  このリーダーの一言で、メンバーはどれだけ心が癒されて、明日への活力が生まれることか。

 職場のリーダーの肯定的ストロークは、働く人々のヤル気の源泉として不可欠なものです。