どうしたらY理論が身につくのか?
では、リーダーは、Y理論のスタンスを身につけるために、どんな努力をすればいいのでしょうか。
一つは、リーダーが自分自身をY理論で見つめること。
つまり、自分の中には自分の知らない可能性が潜んでいる、そう無条件に自分に言い聞かすことが大切です。
生涯発達心理学の研究からも明らかなように、たとえ年をとっても、人間の中には生涯にわたって成長し続ける能力があると言われています。
たとえば、「ワザ(技)を究める」という世界です。いわんや、若い世代の人たちは「自分は無限の可能性を持っている」と考えて、まず間違いないでしょう。
また、自分の持ち味や強みを自覚して、それに磨きをかけることもY理論のスタンスづくりを促進します。
私は、他人から、「気の利いたジョークの一つも喋れない。面白さに欠ける人間だ」と言われることがあります。
カチンときますが、事実だから苦笑いをしながら認めます。
ユーモアたっぷりの喋りができたらいいなぁ~、と思うこともしばしばですが、だからといって落ち込むことは最近ではありません。
40歳くらいの時に、面白さに欠ける裏返しは「真面目さ」なんだと気づき、今では真面目な自分が好きで、真面目さを楽しんでいます。
リーダーにとって、もう一つ大事なことがあります。
それは「メンバーの育成・支援に成功した」という成功体験です。
メンバーのチャレンジ目標の設定や、その達成プロセスを、個人の成熟度に応じて一所懸命に支援する。
結果として、メンバーが目標達成に成功する。あるいは、いいところまで追い詰める。
これはメンバーの成功体験であると同時に、リーダーの成功体験でもあります。
つまり、メンバー支援に関する成功体験の蓄積が、リーダーのY理論のスタンスを強化する、ということなのです。