ハーベストを中心に支援連合の中国主導が鮮明になれば、米中貿易戦争がネックになる。アップルとしては、2020年以降のiPhoneの有機ELパネルについて、韓国サムスン電子以外の調達先を確保するのがJDIの支援の狙いだが、中国の有機EL工場からでは調達は難しい。新たなJDI支援連合は、米アップルと中国ファンドが同居する矛盾を抱えながら、いまなお先行きが不透明だ。

Suwa連合以外の本命はエフィッシモか

 「Suwaのみならずいろいろな選択肢を考えている」。菊岡常務は、新たな支援連合も盤石ではないことを認めつつ、Suwaの枠組み以外の資金調達についても交渉していく方針を示した。ただ「それはあくまでバックアップ」とも述べ、中国・香港の支援連合と優先して交渉すると強調している。

 筆頭株主である官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)は、Suwaによる金融支援が完了することを条件にJDIに追加支援を実施する。このためJDIにとっては、中国・香港連合の枠組みは、なんとしても死守しなければならないという事情がこの発言の背景にある。

 Suwa以外の交渉相手の本命としては、第2位株主であるシンガポールのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが浮上している。エフィッシモとは5月下旬まで200億~300億円の資金援助の交渉を進めながら決裂した経緯が明らかになっている。JDIの内部では、交渉再開に期待を寄せる声が根強い。

 JDIは9月末までに、アップル向けを中心とするモバイル事業の分社化を検討する。実は、これはエフィッシモのアイデアで始まった。最終的には「アップル事業の売却」で、車載事業とノンモバイル事業に集中してJDI再建を図る計画だとみられる。中国の工場でアップル向け有機ELを拡大するというSuwaの計画よりも、JDI内部のほか、株式市場や取引先など外部の評価が高まる可能性がある。

 シャープの戴正呉会長兼社長はメディアのインタビューや株主総会で、JDI支援の検討に前向きな姿勢を示している。仮に鴻海精密工業グループが乗り出してくれば、支援の枠組みは大きく変わる。

 今後JDIは、Suwaとの交渉を着実に進めることで、アップルやINCJの追加支援を引き出しながら、Suwaとは別の枠組みも模索するという複雑な利害調整が絡んだ交渉に臨む。4~6月期の業績は営業赤字が続く見通しだ。関係者によると、手元資金が危機的な水準まで落ち込むのは9月末が目途。交渉を急ぐ必要がある。