決算書をよくするために、徹底的に粘る

大久保 借入を申し込む前の、決算書を作る段階では、B/Sのマネジメントが大切だと考えています。たとえば3月決算で、3月に大きな投資をするとしたら、投資と調達はB/Sに載ってしまうのに、今期の売上や利益はほとんど変わらないということになります。そうすると重たいB/Sになってしまう。この場合、決算直前の投資は翌期に回すなどの判断が必要です。

古山 決算月にはいろいろな工夫ができますよね。私の本でも紹介していますが、たとえば仕入業者への買掛金が残っていたら払ってしまい、負債を小さくするというのも有効です。それで自己資本比率が良くなりますから。仕入業者だって早めに支払ってくれる分には困りません。

 また、店舗がたくさんあって小口現金が分散している会社なら、年度末に一度それを回収して、短期借入金の返済に充てる。そうすることでB/Sを瞬間的にでも改善できます。小口現金は年度初めにまた貸してもらえばいいんです。

大久保 役員貸付金とか仮払金とか、そういうのを残したまま年度末を迎えてしまうのはダメですよね。決算の瞬間を少しでもよくするために、やるべきことは全部やるという姿勢が大事です。

古山 その通りです。いい決算書のために最後まで粘ること。年度末の最終日に、「借りてください!」と土下座しにくる銀行マンがいますが、あの執念だけは見習うべきです。