銀行に出す書類に、書きたくないことは書かない

大久保 銀行交渉の際の書類はどんなものを用意していますか?

古山 P/L、B/Sだけで済ましてもらうことが多いです。「一式用意してください」と言われることもありますが、渡さないようにしています。

大久保 私のお客さんには一式用意してもらうことが多いです。だからいつ提出しても大丈夫なように、普段から意識して、書きたくないことは書かないように工夫したりしていますね。

古山 若い企業は、それでもいいと思います。でも、10年、20年以上続いている企業は、いろんな書類を提出してしまうと、融資以外の提案のネタにされてしまうことがあるんです。

「この土地があまっているから、賃貸物件建築の提案ができそう」「有価証券をたくさん持っているから投資が好きそう。投資の提案をしよう」というように。銀行には内訳書やら別表の提出を求められることもありますが、突っぱねればいいんです。

大久保 確かに、何でも見せればいいというもんじゃないです。たとえば決算書で借入金の内訳明細を書くページには、借入金利までは書かないようにとアドバイスしています。

古山 他行の金利が丸わかりになっちゃいますからね。

大久保 これを他の税理士に言うと、「税務署の要請だから書いているんだ」と怒る人もいますけど、書かなくたって問題ありません。交渉相手である銀行に、こちらの手のうちを明かす必要はないんです。もし銀行に聞かれたとしても、断ればいい。「なんでそんなこと教えないといけないんだ」くらい強気で断る経営者もいますよ。それで交渉が決裂することはないですからね。