来る7月21日、令和初の参議院議員通常選挙が実施される。求心力の低下も指摘され始めた「安倍一強」の政治体制が変わることはあるのか。争点らしき争点がない選挙戦で、注目すべきポイントとは。政治アナリストの伊藤惇夫氏が鋭く分析する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 副編集長 小尾拓也)
「安倍一強」は続くか
ハードル高い今夏の参院選
――今回の参院選で改選されるのは、245議席のうちの124議席。非改選の70議席を持つ自民・公明の与党は、この選挙で53議席以上をとれば、参院で過半数を維持できます。注目は「安倍一強」の体制が続くかどうか。長期政権の「緩み」によって、安倍首相の求心力が失われつつあるという見方も増えています。
今回、改選を迎える議員が当選した2013年の参院選では、自民党が65議席を獲得しました。次の2016年の参院選で獲得したのが56議席だったことを考えても、これは彼らの実力を10議席程度上回った数字。前年に下野した民主党が壊滅状態で、安倍政権の支持率が最も高かった中で行われ、圧倒的に有利な選挙だったからです。
そう考えると今回のポイントは、もし自民党が議席を減らしたとしても、2013年時と比べて10議席以内の減少に留め、50台後半の議席を維持できるかどうかです。ここを乗り切れば、安倍首相が責任を問われることはないでしょう。
――仮にそれ以上の議席を失った場合は、どんな状況になりそうですか。
「安倍一強」を支える大きな要素の1つが、国政選挙で5連勝していること。そのイメージが途絶えると安倍神話は揺らぎます。だからといって、直ちに政権がどうにかなるようなことは考えにくいですが、レームダック化(政治的影響力の喪失)していく可能性はあります。