そんなことは本を読むときに当然期待することだから、何も驚くことではない。ただ、一回読んだだけで記憶に刻まれる本というのは珍しく、その理由の1つとして考えられるのは、本書が構想から執筆までに約10年の時間をがかかっていることだ。一つ一つの物語やエピソードはその長い時間の間に収集され、淘汰され、残された秀逸なものばかり。

 世界の見方を進化論によって劇的に変えたチャールズ・ダーウィンの決断は、しっかりと記録に残されている。ただし、科学の偉大な発見に関する決断ではなく、とても個人的な悩みが。それは、とある女性と結婚するか、しないか、である。

結婚に悩んだ
ダーウィンのノート

 結婚に悩んだダーウィンはノートを開き、左側のページに結婚反対用のメリット・デメリットを、右側のページに結婚賛成用のリストをつくった。