さらに、TOGAが素晴らしいのは、こうした理念教育のために、普段の業務とは別に、特別な活動をして表彰するということではなく、普段の仕事の中で、企業理念とのつながりを見いだし、エントリーしてもらうようにしていることです。

 企業の理念に沿った活動を表彰するからといって、何かを無理にさせるのではありません。自分や、自分が所属する組織の仕事は、いったい何のために、誰のためにやっていて社会においてどのような意味があるのか。それをあらためて考える機会を会社が積極的に作り、それを企業として認知・奨励することで、理念と仕事がつながり、行動や意識が自然と変わっていくのです。

 さらに、TOGAは1年に1度それらの活動事例を全体で共有することで、異なる社員や組織で、企業理念と業務をどうつなげていったかを社員が知ることができます。自分とは異なるバックグラウンドを持つ社員が、どのような目的意識で仕事に取り組んでいるかを知ることで、企業全体での企業理念の共感を広げています。

企業と社員のつながりが生まれる瞬間を
逃さない取り組みが大切

『人事こそ最強の経営戦略』南和気さんの新刊『人事こそ最強の経営戦略』

 企業と社員とのつながりは、瞬間的に生まれるともいわれます。

 例えば、入社した日、初めて仕事で褒められた・認められた日、昇進した日、上司や仲間に助けられた日、難しい判断を迫られた日、顧客から感謝された日、仲間と協力して何かを達成した日。こういった瞬間に、社員が組織と良いつながりを感じれば、そのつながりは心に強く残ります。

 しかし、逆にこういった重要な瞬間に、組織として、ともに働く意味や価値を正しく伝えることができないと、社員は個人の成果だけを意識するようになってしまいます。

「つながりを生む瞬間」を逃さないためにも、一時的な理念教育に全てを委ねるのではなく、日々の仕事の中で、企業としての価値観が自然と理解していけるような取り組みや工夫を採り入れ、社員と企業とのエンゲージメントを高め、個人の力を組織の力として機能させることが重要です。