さくら総合リート投資法人さくら総合リート法人は、敵対的買収に対し猛烈に反発している Photo:Diamond

さくら総合リート法人をめぐる買収提案で、J-REIT(上場不動産投資信託)で初めてとなる敵対的買収劇が幕を開け、プロキシーファイト(委任状争奪戦)が繰り広げられることになった。その裏には、REIT特有の“事情”があった。(ダイヤモンド編集部編集委員 田島靖久)

REIT初の敵対的買収
「みなし賛成」が障壁に

「さくら(総合リート法人)はこの2ヵ月間、国内外を問わずホワイトナイト(白馬の騎士)捜しに走り回っていた。そこでようやくみつかったのが『みらい』だったというわけだ」

 ある不動産ファンドの幹部がこう語るのは、不動産投資信託(REIT)のさくら総合リート法人をめぐる「敵対的買収」についてだ。

 今からさかのぼること2ヵ月前の5月初旬、「スターアジア不動産投資法人」の運用会社が、突然、さくらに対し合併を提案。これに対しさくらの運用会社は、「事前に同意を得るといった手続きを無視したもの」として猛反発し、合併に反対する見解を繰り返し表明。こうして、REITで初めてとなる「敵対的買収」へと発展していった。

 しかし、ここでさくらは1つの大きな障壁にぶち当たる。それはREIT特有の「みなし賛成」制度だ。

 REITの合併には、企業の株主総会にあたる「投資主総会」での承認が必要。関東財務局は6月末に、スターアジア側が求めていたさくらの臨時投資主総会の招集を許可しており、スターアジア側は8月30日にもさくらの総会を開き、合併に向けてさくらの運用会社と執行役員の交代を諮る構えを見せていた。