米シリコンバレーのお気に入りのキーワードは「ディスラプション(創造的破壊)」。投資家はそれが両刃の剣だと気づき始めた。業界を破壊したい企業があまりに多いため、新興企業を中心とする「破壊志願者」同士が、地位の確立した既存企業に挑むのと同じほど、つぶし合いに時間を費やすようになった。ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が1990年代に定義したように、業界に変革を起こす企業はよりローエンド、または十分なサービスを受けてこなかった顧客を取り込んでスタートを切り、その後よりハイエンドに移行する。今やこの定義は緩みきり、テクノロジーを利用して既存企業に挑戦する企業は全て破壊者と呼ばれるようになった。