隣接するATMを相互開放し、片方を撤去してどちらか一台を共同利用しようとすると、「自前のATMがなくなった地銀の顧客は、通帳が使えなくなる」(同)のだ。

 銀行の通帳は、基幹系システムが異なるなどの理由から、「読み取りの規格が無駄に異なる」(別の大手銀幹部)場合が多い。

 くだんの三菱UFJ銀と三井住友銀の共同利用においても、他行のATMでは通帳は使用できないままだ。

 とはいえ、この問題を無視してしまえば、通帳に愛着のある顧客から不満が出るのは間違いない。そうした理由から、その地銀の提携話も頓挫したという。

 反対に、問題に目をつぶらざるを得ない事例も出ている。今年5月、東邦銀行と福島銀行という福島県に本店を構える2行がATMの共同利用を発表した。

 県内は経営環境が厳しく、収益低迷に伴うコスト削減は必須。その一環でATMの共同利用に着手したが、「基幹系システムが異なるため、結局、通帳の相互利用という課題まで踏み込むことができなかった」と、2行のうちのある中堅幹部は顔を曇らせる。

 印紙税がかかる通帳は、有料化やウェブ型の通帳などにして「どうにかコストを減らしたい」(別のメガバンク幹部)というのが銀行の本音だろう。だが、急な方針転換は顧客の信頼を失いかねない。

 コスト削減か、顧客利便性か。メガも地銀も、ATMにまつわる難問が頭痛の種となっている。