千葉銀行との業務提携を発表した横浜銀行。トップ地銀同士の提携に驚きの声が上がるが、横浜銀行自身も生まれ変わるべく、新たな取り組みを進めている。キーワードは、「これまでにない銀行」への転換だ。(ダイヤモンド編集部編集委員 田島靖久)
頭取自ら企業に出向き
ソリューション提案
神奈川県内に本社を構える企業の元に、横浜銀行の大矢恭好頭取の姿があった。
この企業は自己資本比率が高いため、ほとんど無借金経営。しかも、メガバンクがメインバンクで、横浜銀行は全く付き合いがなかった。そのため、役員はおろか、その地域の担当者さえ出入りしていなかったという。
にもかかわらず、なぜ大矢頭取はそこにいたのか。実は、社長と会長にアポイントを取って1人で乗り込み、それぞれ1時間程度みっちりとミーティングを行っていたのだ。
頭取の企業訪問といえば“表敬”がほとんどで、30分もいればいい方。その中身も「最近、元気ですかぁ」といった、どうでもいい内容が普通だ。
しかし、大矢頭取は全く違った。表敬はおろか融資の申し出さえせず、その企業が抱えるニーズを真剣に聞き、銀行とタイアップして新しいことができないか話し合いに行ったのだ。