「人助け」の強制は暴力なのか?
辛辣な意見。ミユウさんは、そのまま続けた。
「倫理ちゃんってあれ? 1億円の宝くじが当たった人のところに毎日電話かけるタイプ? ラッキーで手に入れたお金なんだからそれを放棄して、飢えて死にそうな人たちを助けるべきです。寄付するべきです。べきです、べきです、って。それ、いちいち聞かされる方は貴重な時間を奪われて、たまったものじゃないんだけど」
「で、断ったら断ったで、今度は悪人呼ばわりして、こうすべきですと説教してくるわけでしょ? ウザすぎることこの上ないわね。だいたいさー、べきべき言ったって、どうせ助ける人は助けるし、助けない人は助けないわけじゃない? だったら、ごちゃごちゃ言わず、自由にさせるでいいんじゃない?」
「では、崖があることを知らずそっちに歩いている人がいたら、もしくは、麻薬の恐ろしさを知らず麻薬を打とうとしている人がいたら……というケースについてはどうですか? そういう人を見かけたら、私たちは絶対に止める『べき』だと思いますし、それを止めなかった人の責任は問われてもいいように思います」
「もし、ミユウさんの大切な人がそういった状況で、目の前の人がそれを止められたのに止めなかったとしたら……止める止めないは個人の自由だからと納得できるのですか? 私は、個人の自由よりも尊重すべきことが世の中にはあると思います」
次回に続く。