私も「忙しいな」と感じることがしばしばある。特に3年くらい前は、辛い局面も多々あった。

 たとえば、行きたくない宴会に誘われ出席せざるを得なかったり、原稿執筆を依頼されて断りきれず、書かなくてはならなかったりという場面だ。意味のない酒をたくさん飲んだ。自分のためにならない原稿をたくさん書いた。神経が磨り減らされた。

 私の職業はフリーエージェントで、国内外における大学、メディア、政府、企業、スポーツ界などあらゆる組織の方々と仕事をしている。先の若手役人や若手会社員と違い、基本的に時間配分は自ら決められる。

 それでも、私がさまざまな依頼を断りきれなかったのは、自分を律する力がないからだ。力があれば、「すいません。最近ランニングに集中しているので時間を割けません」といった一言で断れるはずだ。力があれば優先順位を決められるはずである。

 最近、だいぶ断れるようになった。今では自分にこう言い聞かせている。

 自分で自分の時間を支配し、自己管理に集中する、そこに徹底的にこだわるライフスタイルこそが、「ポジティブな忙しさ」を追求するうえでの大前提なんだ、と。そのために必要なのが自分を律する力で、その力をつけるために、努力は惜しんではいけないんだ、と。

 私は、今を生きる日本人が「1億総忙しい病」に罹っている気がしてならない。私はこれこそが、日本人の多くが夢を抱けず、語れなくなっている核心的原因であると考えている。

 街頭インタビューで「夢はない」と言い切った方がいた。また、「夢はある。内に秘めている」と答えた方もいた。しかし、それは「忙しい病」で、自分の大切な夢を脇に置いて見て見ぬふりをしているだけではないだろうか。「秘めている」のではなく、意味のない忙しさに振り回され、「自分でも自分の夢が見えなくなっている」ということではないだろうか。

 自分を強く律して「忙しい病」を克服し、だれもが夢と向き合うことができれば、「内向き」で「無気力」な日本社会は、少しは変わるのではないかと思う。

私の夢を更新する

 私のこれまでの夢は「日本人が、国際社会で伸び伸びと、誇りを持って生きることができるような土壌を創るべく、多言語で世界に発信し続けること」であった。

 今回の取材を経て、私は自分の夢に若干の修正を加えたい。

「日本人が、国内外で伸び伸びと、誇りを持って生きることができる、そして夢を語れるような土壌を創るべく、多言語で、国内外双方向に発信し続けること」

 これが、今の私の夢だ。