“校舎も講義もないのに、ハーバードを超える人材が集まる”と話題のミネルバ大学。そのミネルバ大学の日本での認知活動に携わり、『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』を著した山本秀樹氏は、活動を通して多くの優れた教育者と出会い、新しい時代の「教育」を目指す「新しい学校」について見聞きしたという。今回は、その中から、「世界最先端の教育機関」を6つ選んでいただき、前後編でご紹介する。前編は、テクノロジー・サイエンス系人材を養成する3つの学校だ。
自分の子どもに合う教育を探す親が見るべき
2つのポイント
ミネルバ大学の日本での認知活動を通じ、国内外のさまざまな教育関係者と交流させていただくことができた。今回はこうした活動を通して知ったユニークな学習環境を提供している組織をご紹介したい。なお、紹介する組織がすべて国の学校法人の認定を受けているというわけではない。そのため学校の進路指導や塾でこうした教育機関を紹介してもらえることは、ほぼないだろう。それでも国が定める基準では満足できない人や自分の子どもの才能を信じ、柔軟性の高い教育を探している保護者にとっては有益な情報になるはずだ。そして、こうした教育機関は横並びの既存の規制に守られた「学校」が独自の教育プログラムを構築するうえで参考にできる要素もたくさんある。
今回、前後編に分けて紹介する「世界最先端の教育機関」とミネルバ大学には、共通する点が2つある。
1つ目は、テクノロジーを有効活用しているという点だ。紹介する教育機関はミネルバ大学のような独自のオンライン教育プラットフォームは利用していないが、既存のアプリケーションを有効活用して、学習時間の柔軟性、学習の質を担保している。
2つ目は、「社会との接続」という点である。いずれの教育機関もプロジェクト学習、すなわち学校の外で自分の探究活動に浸かる時間を重視している。実社会に活かせる学びを提供する、というコミットメントがある。
こうした教育機関が台頭してきた理由については、実社会のニーズを反映しているからとも言える。取り上げる教育機関は、大きく2つに――テクノロジー・サイエンス系人材を養成する目的で設立されたものと、深い国際・異文化適応力を持った人材を養成する目的で設立されたものに――分けられるが、この2つは、まさに今子どもに身につけさせたい能力であるからだ。さらに今回は、あえて既存の学校法人の枠組みの中でユニークな取り組みをしている学校も合わせて紹介するので、比較してみていただきたい。