生徒全員の時間割が違う!?
2019年9月開校予定、日本発の注目の学校

サイエンス・テクノロジー系の学校が「いま、顕在化している人材不足」を解消するためにばかりあるわけではない。

2019年9月の開校予定のManai Institutes of Science and Technologiesは、才能ある学生に学習環境を無償で提供する、というコンセプトはダイソン大学や42と同じだ。ただし、こちらは、自分の興味のある研究に没頭する時間が取れる夏休みなどに、提携した研究所、大学の研究施設などでの実験機会をプロデュースする。中学卒業生を入学基準としているが、それ以降は特に年齢制限がない。入学審査は、学校が用意した6ヵ月のプログラムを受講し、その学習内容をみて入学可否を決める、というだけ。この6ヵ月の入学審査プログラムは、他の高校に通いながら受講することも可能だ。

入学後は、自分で設計した研究計画に基づいた学習を中心に行う。高校卒業要件については、各学生の進路希望に基づき、国内外の通信制高校のプログラムを受講する。カリキュラムはサポーターと話しあいながら決めるため、「1人として同じ時間割はない」と創立者の1人である野村竜一氏は言う。サイエンスに特化したインターナショナル・スクールの設立を目指してきた野村氏は、オンライン・ディスカッションなどを通じて研究計画を話しあい、大学の夏休み期間を利用してラボで実験を行うサマー・キャンプやスプリング・キャンプを過去4年にわたって実施し、ノウハウを蓄積してきた。その経験から、よいメンターとの出会いが子どもたちの探究心を深め、加速させると考えている

運営にかかる費用は、学生の研究テーマなどを支援したい個人や団体などからの寄付によって捻出するため、学費は不要となる。ミネルバ大学でも実証されたが、自前の施設を必要最小限に絞り、自分たちが伸ばせる学生を、時間をかけて選ぶことで、通常の学校では対応できなかったプログラムが提供できるようになってきた。これは、従来の学校にはなかった大きな変化であろう。

(後編に続く。次回は、2019年7月22日公開予定)