5Gを活用したコネクテッド社会では
スマホを忘れても「困らない」

 あらゆる領域で、人とモノ、モノ同士が5Gで接続する「コネクテッド社会」がやって来るかもしれない。

 ここで、少し想像(妄想?)を膨らませてみよう。

 A氏がある日道を歩いていると、常に装着している腕時計型デバイスのアラームが鳴る。それとほぼ同時に自動運転の救急車がA氏の前で止まり「とにかく早く乗れ」と促される。

 救急車の中で詳細な検査が行われ、データは即時、遠隔地にいる専門医に送られる。 

 救急病院に着くと、すでに手術の準備が完璧に整っている。A氏が到着すると、間髪入れずにロボットを使った遠隔開胸手術が始められた。

 かくして手術は無事終了。モニターに映る執刀医はA氏に「心臓に重大な異変がありました。30分遅ければ手遅れでしたよ」と告げる――。

 このようなSFめいたことも、思ったより早く現実になる可能性が高い。

 妄想ついでにもう1つ。5Gによるコネクテッド社会で、冒頭の私のエピソードのようにスマホや腕時計型デバイスを携帯し忘れた場合にはどうなるのだろうか。

 おそらく、今より「困らなくなる」と予想される。

 今でも、都市部の繁華街などには、セキュリティーのためのカメラが数多く設置されている。自動運転システムになれば、個々の車や道路に、周辺状況を把握するためのセンサーやカメラが付いているはずだ。

 これらが集めた映像データをクラウドに集めて分析すれば、道を歩く一人ひとりの動きをAIが正確に把握することができるだろう。

 すると、自分の移動に合わせて必要な情報が、近くにあるディスプレーに自動的に表示されるようになる。

 例えば、駅の改札に近づくだけでカメラが私を認識して、クラウドから私のスケジュールを引き出して予定を確認し、目的地までの乗り換え案内と運賃が自動改札のディスプレーに表示され、課金までされる。

 しかし、そこまでいくと、便利さと引き換えにプライバシーが侵されているようで、気味悪く感じる人もいるだろう。堅牢な個人情報保護の仕組みや、「ネットにつながらない自由」を市民の権利として検討すべきなのかもしれない。

 そうした個人情報の問題をはじめ、5Gの先にあるコネクテッド社会の実現には多くの課題がある。技術がいくら進化しても、社会がそれに追いつかなければ意味がない。

 それでも、コネクテッド社会は間違いなくやって来るだろう。課題を解決する方法を探りながらも、本書を参考に、5Gを活用したコネクテッド社会に向けたイノベーションを模索してみてはいかがだろうか。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

情報工場
5Gが実現する「コネクテッドな未来」はバラ色か?
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