お母様が90歳で亡くなるとすると、その時、Fさんは61歳。61歳ということは、アルバイトを行っている時期になり、そこから毎月の支出が年間240万円に増えることになります。アルバイト収入は100万円ですから、年間の取崩額は140万円です。

 55歳時点の金融資産保有額5032万円から年間68万円×6年間=408万円を取り崩すと、61歳時点の残高は4624万円になります。そして、61歳以降65歳までの4年間は取り崩し額が年間140万円に増えることから、4624万円から560万円を差し引いた4064万円が65歳時点の金融資産保有額になります。

 65歳以降は先の計算のように年間110万円取り崩すことになりますから、4064万円÷110万円=約37年となるため、102歳弱までカバーできる計算になります。

 仮にお母様が5年後、あるいは考えたくありませんが万が一、3年後に亡くなられたとしても、Fさんの金融資産は95歳より前に枯渇する可能性は低いでしょう。まして、お母様からの相続、退職金、失業給付は一切考慮していないのですから…。

 リタイア後、増加する余暇費など記載がない費用を試算に入れていないため不安に思われるかもしれません。しかし、先に述べたようにお母様の遺産の相続、退職金、失業給付などは考慮していないため、仮に余暇費用などが増えたとしても考慮していないお金で賄うことができるはずです。

 それでも不安であれば、アルバイトの期間を65歳までではなく、70歳にまで延ばしてみてはいかがでしょうか。70歳まで延ばせば、お金の面だけではなく、リタイア後の生活のリズムを整える効果も期待できます。

 働く期間を延ばすメリットをお話ししましたが、2年後の役職定年まで今の仕事を続けるのは反対です。Fさんは今、メンタル面でのストレスを抱えているのですから、我慢してそのストレスが増幅し、さらに体調が悪化してしまうと、かえって医療費などの負担が増えて家計を圧迫させてしまう恐れもあるからです。

 今後を考えると、今のFさんにはストレスを溜めずに心身健やかに過ごせるようにすることが最も大切だとご理解ください。簡易的な試算ですが、経済的な不安はほとんどありません。我慢せずに退職して、ゆっくり休み、まずは心身を整えて楽しい老後を迎えられるようにしてください。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)