人手不足を理由に
有給の取得を却下される

 次の日、AはB社長を見るなり話を切り出した。

「ご相談したいことがあります」
「何だ?」
「4~5日ほど有給休暇を取りたいんです」

 すると、B社長はあきれた口調で答えた。

「はぁ?有給休暇だって?ウチにそんな制度はないよ」
「しかし、友人から有休の取得は法律で決まっている権利だと聞きました」

 その言葉にカチンときたB社長は、Aを睨みつけ大声で言い放った。

「君もわかっているだろう?ウチは常に人手不足。だから普段の休み以上の休暇は取れないの!それに、休みの目的は何だよ?」
「キャンプに行くんです」
「アホか!皆忙しくて大変なのに、君だけがキャンプに行くのか!?呆れたもんだ!」

 結局、B社長はAの申し出を認めなかったので、AはCに教えてもらった最後の切り札を出した。

「わかりました。有休拒否とパワハラで労働基準監督署に通報します」

 B社長はドキッとした。なぜなら1年前、退職するスタッフが長時間労働に伴う残業代の未払いを労基署に告発したため、指導を受けたことがあったからだ。現在はスタッフ全員にきちんと残業代を支払っているが、もし、また労基署に睨まれるようなことになったら、会社のイメージをさらに悪化させることになりかねない。困ったB社長は、休憩時間中にD社労士の事務所へ出かけた。

 B社長はD社労士の顔を見るなり、こう切り出した。

「スタッフの1人から有休を取りたいと言われて困っている。理由を尋ねると『キャンプに行きたいから』と言うんだ。それを断ると『労基署に通報する』と反発されたんだよね。どうすればいいだろう?」

 D社労士はB社長の話を聞き終えると質問した。

「スタッフの方は正社員ですか?」
「そうだ」
「いつから甲社にお勤めされていますか?」