総合病院で2000人のリハビリに関わってきた理学療法士が、ストレッチよりはるかに簡単なのに、驚くほど効果のある奇跡の「うつぶせ」療法を紹介します。
たった1分の「うつぶせ」を習慣にするだけで、猫背、腰痛、肩こり、首の痛み、不眠、疲労、冷えといった体の不調が改善し、高齢者には誤嚥予防にもなります。
「うつぶせになるだけで、本当にそんなに効果があるの?」
と思うでしょうが、どうしてそんなに効果があるのか、その納得の理由を『うつぶせ1分で健康になる』から一部抜粋し、再構成して紹介します。(初出:2019年7月27日)

運動なんてしていないのに、勝手に体幹が鍛えられていく!「いつのまにか…」が何よりうれしい、ズボラさん必見の健康法【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

猫背の原因の半数は
筋力低下だった!

運動なんてしていないのに、勝手に体幹が鍛えられていく!「いつのまにか…」が何よりうれしい、ズボラさん必見の健康法【書籍オンライン編集部セレクション】乾亮介(いぬい・りょうすけ)
理学療法士、ピラティスインストラクター
関西医療学園専門学校理学療法学科卒業。理学療法士資格を取得後、医療法人宝生会PL病院リハビリテーション科に勤務し、16年間でリハビリに関わった患者は2000人を超える。整形外科疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、心疾患などあらゆる患者のリハビリに携わる。同時に訪問リハビリや学会発表、論文執筆、講演や理学療法士養成校の非常勤講師など精力的に活動し、2012年には畿央大学大学院健康科学研究科にて修士号(健康科学)を取得。ピラティスインストラクター資格を取得後、2017年4月に独立して予防医学サロン&ピラティススタジオ「リハティスプラス」を開き、地域の予防事業や全国各地で研修会やセミナーの講師を務める。

 病院のリハビリ現場では、座ったり歩いたりすることができる人でも、自分ひとりではうつぶせになれない、そもそもよつんばいになることはおろか、起き上がることもできない患者さんが多くいます。
 これは、うつぶせになるためは、座ったり歩いたりするよりも多くの体幹筋力(腹筋、背筋力)や、関節を動かせる範囲の広がりが必要であることを意味しています。

 うつぶせになるには、ひざをついてよつんばいになり、そこからうつぶせになる方法か、仰向けの状態から一度横向きになって、うつぶせになる方法があります。
 どちらの動きにも、歩行や起き上がり、立ち上がりといった日常生活に必要な体幹筋力が必要です。
 ですから、うつぶせを日常的に行うことで、自然と体幹筋力を鍛えることができるのです。

 高齢者の猫背の原因には、骨粗しょう症などによる椎体(ついたい)の変形や骨折、靱帯(じんたい)・椎間板の変性、日常的に背中や腰を曲げた姿勢をしていることなど複数の要因がありますが、そのうち約半数は骨粗しょう症などによる背骨の骨折が原因とされています。

 他の猫背の原因は何かというと、背中とお腹部分についている、さまざまな筋肉の筋力低下です。
 ということは、それらの筋力の強化によって、猫背の半数はよくなるといえるのです。
 その意味でも、うつぶせによる筋力強化がはずせないポイントと言えるでしょう。