一方、韓国は1992年まで台湾と国交を維持していた。日台断交後も「韓国は裏切らない」と韓国政府は言い続けていた。しかし、1992年に韓国と中国との国交が結ばれると、政策変更に伴って、韓国は何の準備もなく台湾との断交を決めた。台湾側への断交の通告は数日前に行われ、在韓国の台湾の大使館員は即座に国外退去を求められた。そのため、当時を知る台湾人の多くは「裏切られた」と考えるのである。

 ルールを順守するのか、その時々の政権によって変わる正義を順守するのか、日韓の基本的なすれ違いは、実は日韓だけで起きている問題ではないのである。

日本版は韓国版と違う?
朝鮮日報の都合のいい編集方針

 話を前回の記事に戻すと、そこで世耕大臣のツイートを「日本の反省点」として述べたのも、内容に問題があると言ったのではない。前述の通り、「韓国政府に反論の隙」を与えるからという話であり、案の定、文在寅政権はあたかも日本が経済制裁を行っているかのように主張しているし、便乗して自分の失策も日本のせいにしようとしている。日本のメディアですら、経済制裁と書いている記事も少なくない。もう一度繰り返すが、今回の措置は優遇措置の撤廃の話であって、経済制裁ではない。

「都合のいい編集」という意味においては、朝鮮日報の日本語版の記事の多くは、韓国語版とタイトルが異なっていることも指摘しておきたい。日本語版では日本ウケするタイトルをつけているようだ。前回の記事では、「韓国朝鮮日報は、輸出規制強化や貿易規制ではなく『輸出優遇除外』という言葉を使って今回の措置を報じているのも興味深い」と書いたが、今回の朝鮮日報の記事ではその点には一切触れられていない。朝鮮日報が今回の日本の措置を「経済制裁」ではなく「輸出優遇除外」と日本で書いていることが、韓国国内の読者に知られたらマズイのだろうか。

 また、そもそもこの記事が公平性を欠くと思うのは、筆者に一度もインタビュー依頼などをせずに、ダイヤモンド・オンラインの記事を都合よく切り貼りすることによって書かれていることだ。

 韓国の3大新聞である朝鮮日報、中央日報、東亜日報は、いずれも東京に支局を持ち、特派員を派遣している。中央日報も東亜日報も、これまで面識はなかったが、記者が私に連絡をしてコメントを求めてきた。それに対し、私も両紙に対してきちんと対応をしている。

 他の韓国メディアの名誉のために言っておくと、私の主張に関して、今回のような引用の仕方をしたのは朝鮮日報だけである。韓国メディアをひとくくりにして批判しているわけではないことを強調したい。中央日報の記者も、東亜日報の記者も「○○に寄稿された○○とはどういう意味でのコメントですか」というように、書いた記事の意図や文脈を尋ねてきた。これが記者としてすべき常識的な対応だし、今回の最大の論点だと思う。